はじめに:データをずらす操作の意義とPandasでのシフト操作の利点
データ解析では、時系列データや移動平均、差分などの演算が必要になることがあります。このような演算を行う場合、データをずらすことが必要になります。Pandasには、データをずらすための便利な機能である「shift」が用意されています。この記事では、Pandasを使ったデータのずらし方を解説し、データ解析の効率化に役立てる方法を紹介します。
shift関数の基本:データをずらす基本的な方法とパラメーター
shift関数を使うと、データを指定した回数だけずらすことができます。例えば、以下のようなデータフレームがあるとします。
import pandas as pd df = pd.DataFrame({'A': [1, 2, 3, 4, 5], 'B': [6, 7, 8, 9, 10], 'C': [11, 12, 13, 14, 15]}) print(df)
このデータフレームを、1行ずらす場合は、以下のようにshift関数を使います。
df_shifted = df.shift(1) print(df_shifted)
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
A B C 0 NaN NaN NaN 1 1.0 6.0 11.0 2 2.0 7.0 12.0 3 3.0 8.0 13.0 4 4.0 9.0 14.0
shift関数では、ずらす回数を引数で指定することができます。また、デフォルトでは行方向にずらしますが、列方向にずらす場合は、引数の「axis」を1に指定します。
行方向にデータをずらす:行方向へのシフト操作でデータ解析を強化
行方向にデータをずらすと、時系列データの場合に特に有用な解析ができます。例えば、以下のような時系列データがあるとします。
import pandas as pd index = pd.date_range('20220501', periods=5, freq='D') df = pd.DataFrame({'sales': [10, 20, 30, 40, 50]}, index=index) print(df)
このデータフレームを1日ずらす場合は、以下のようにshift関数を使います。
df_shifted = df.shift(1, freq='D') print(df_shifted)
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
sales 2022-05-02 10.0 2022-05-03 20.0 2022-05-04 30.0 2022-05-05 40.0 2022-05-06 50.0
shift関数では、freq引数を使って日付のずらし方を指定することができます。このように、時系列データに対しては、日付のずらし方を指定することが重要です。
列方向にデータをずらす:列方向へのシフト操作でデータ解析をもっと便利に
列方向にデータをずらすと、データの差分を取ることができます。例えば、以下のようなデータフレームがあるとします。
import pandas as pd df = pd.DataFrame({'A': [1, 2, 3, 4, 5], 'B': [6, 7, 8, 9, 10], 'C': [11, 12, 13, 14, 15]}) print(df)
このデータフレームを、列方向に1つずらして差分を取る場合は、以下のようにshift関数を使います。
df_shifted = df - df.shift(1, axis=1) print(df_shifted)
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
A B C 0 NaN 5.0 5.0 1 NaN 5.0 5.0 2 NaN 5.0 5.0 3 NaN 5.0 5.0 4 NaN 5.0 5.0
このように、列方向にずらして差分を取ることで、データの変化を分析することができます。
fillna関数との組み合わせ:シフト後の欠損値を適切に処理する方法
shift関数を使ってデータをずらす場合、欠損値が生じることがあります。欠損値を適切に処理するためには、fillna関数と組み合わせて使うことができます。
例えば、以下のようなデータフレームがあるとします。
import pandas as pd import numpy as np df = pd.DataFrame({'A': [1, 2, np.nan, 4, 5], 'B': [6, 7, 8, 9, 10], 'C': [11, 12, 13, 14, 15]}) print(df)
このデータフレームを、1つずらして欠損値を処理する場合は、以下のようにfillna関数を使います。
df_shifted = df.shift(1).fillna(method='bfill') print(df_shifted)
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
A B C 0 1.0 6.0 11.0 1 1.0 6.0 11.0 2 2.0 7.0 12.0 3 4.0 8.0 13.0 4 4.0 9.0 14.0
fillna関数の引数には、’bfill’を指定しています。これは、欠損値を後ろの値で埋めることを意味します。
まとめ:Pandasを使ったデータのずらし方で覚えておくべきポイント
この記事では、Pandasを使ったデータのずらし方について解説しました。以下は、覚えておくべきポイントです。
- shift関数を使うことで、データを指定した回数だけずらすことができます。
- 行方向にデータをずらす場合、時系列データに対してはfreq引数を使って日付のずらし方を指定することが重要です。
- 列方向にデータをずらす場合、差分を取ることができます。
- 欠損値が生じた場合は、fillna関数を使って適切に処理することができます。
Pandasを使ったデータ解析では、データをずらす操作が頻繁に必要になります。この記事を参考に、shift関数を使ってデータを効率的にずらす方法をマスターしましょう。