【Python】Pandasで同じ列名を持つデータフレームを扱うための実践ガイド

はじめに

データフレームを扱う上で、同じ列名を持つデータフレームはよくある問題です。同じ列名があると、列を指定する際に混乱が生じたり、データの結合がうまくいかなかったりすることがあります。本記事では、PythonのPandasライブラリを使って同じ列名を持つデータフレームを扱うための実践的な方法を紹介します。

同じ列名のデータフレーム扱いの課題

同じ列名を持つデータフレームを扱う際に生じる課題について考えてみましょう。

    • 列名の指定が困難になる

同じ列名を持つデータフレームを扱う場合、列名を指定する際にどのデータフレームの列か混乱してしまうことがあります。

    • データの結合がうまくいかない

同じ列名を持つデータフレームを結合する場合、結合によって列名が重複してしまい、データの整合性が取れなくなることがあります。

列名の変更による対処法

同じ列名を持つデータフレームを扱う最も単純な方法は、列名を変更することです。Pandasのrename()関数を使えば、列名を一括で変更することができます。

import pandas as pd
df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie']})
df2 = pd.DataFrame({'id': [4, 5, 6],
'name': ['Dave', 'Eve', 'Frank']})
# 列名を変更
df1_renamed = df1.rename(columns={'id': 'id1', 'name': 'name1'})
df2_renamed = df2.rename(columns={'id': 'id2', 'name': 'name2'})
# 変更後の列名を確認
print(df1_renamed.columns)
print(df2_renamed.columns)
# 結果
# Index(['id1', 'name1'], dtype='object')
# Index(['id2', 'name2'], dtype='object')

列名を変更することで、同じ列名を持つデータフレームを区別できるようになります。

列名の重複を避けるデータ前処理

同じ列名を持つデータフレームを扱う別の方法は、データ前処理を行うことです。データ前処理とは、データを扱いやすくするための前処理のことであり、この場合は列名を重複しないようにすることが目的です。

例えば、2つのデータフレームを結合する場合には、merge()関数を使うことができます。この関数では、on引数に列名を指定することで結合する列を指定することができます。同じ列名を持つデータフレームを結合する場合には、on引数に列名を指定する際に、重複しないように気を付ける必要があります。

df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
                    'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie']})
df2 = pd.DataFrame({'id': [2, 3, 4],
                    'age': [20, 30, 40]})
# id列を結合のキーとして指定
df_merge = pd.merge(df1, df2, on='id')
# 結果を表示
print(df_merge)
# 結果
# id name age
# 0 2 Bob 20
# 1 3 Charlie 30

この例では、id列を結合のキーとして指定しました。しかし、実際には、id列が両方のデータフレームに存在するため、どちらのデータフレームのid列を指定するか指定する必要があります。

Pandasの結合方法の選択と使い分け

Pandasには、データフレームを結合するための様々な関数があります。それぞれの関数には、データを結合する方法が異なるため、使い分けが必要です。

    • concat()

concat()関数は、2つ以上のデータフレームを縦または横に連結するための関数です。データフレームを縦方向に連結
する場合にはaxis=0を指定し、横方向に連結する場合にはaxis=1を指定します。この関数は、列名が重複している場合でも結合できます。

df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
                    'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie']})
df2 = pd.DataFrame({'id': [4, 5, 6],
                    'name': ['Dave', 'Eve', 'Frank']})
# 縦方向に連結
df_concat_v = pd.concat([df1, df2], axis=0)
# 横方向に連結
df_concat_h = pd.concat([df1, df2], axis=1)
# 結果を表示
print(df_concat_v)
print(df_concat_h)

# 結果
#    id     name
# 0   1    Alice
# 1   2      Bob
# 2   3  Charlie
# 0   4     Dave
# 1   5      Eve
# 2   6    Frank

#    id     name  id     name
# 0   1    Alice   4     Dave
# 1   2      Bob   5      Eve
# 2   3  Charlie   6    Frank
    • merge()

merge()関数は、2つのデータフレームを指定した列をキーとして結合するための関数です。結合方法には、innerouterleftrightの4つがあり、それぞれ以下のような意味があります。

      • inner:両方のデータフレームに存在するキーだけを残して結合する。
      • outer:どちらかのデータフレームに存在するキーを全て残して結合する。
      • left:左側のデータフレームに存在するキーを全て残して結合する。
      • right:右側のデータフレームに存在するキーを全て残して結合する。
df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
                    'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie']})
df2 = pd.DataFrame({'id': [2, 3, 4],
'age': [20, 30, 40]})
# id列をキーとして結合
df_merge_inner = pd.merge(df1, df2, on='id', how='inner')
df_merge_outer = pd.merge(df1, df2, on='id', how='outer')
df_merge_left = pd.merge(df1, df2, on='id', how='left')
df_merge_right = pd.merge(df1, df2, on='id', how='right')
# 結果を表示
print(df_merge_inner)
print(df_merge_outer)
print(df_merge_left)
print(df_merge_right)

# 結果
   id     name  age
0   2      Bob   20
1   3  Charlie   30

   id     name   age
0   1    Alice   NaN
1   2      Bob  20.0
2   3  Charlie  30.0
3   4      NaN  40.0

   id     name   age
0   1    Alice   NaN
1   2      Bob  20.0
2   3  Charlie  30.0

   id     name  age
0   2      Bob   20
1   3  Charlie   30
2   4      NaN   40
    • join()

join()関数は、merge()関数と同様に2つのデータフレームを結合するための関数です。この関数は、データフレームのインデックスをキーとして結合します。結合方法には、innerouterleftrightの4つがあり、merge()関数と同様の意味を持ちます。

df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
                    'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie']})
df2 = pd.DataFrame({'age': [20, 30, 40]},
index=[2, 3, 4])
# インデックスをキーとして結合
df_join_inner = df1.join(df2, how='inner')
df_join_outer = df1.join(df2, how='outer')
df_join_left = df1.join(df2, how='left')
df_join_right = df1.join(df2, how='right')
# 結果を表示
print(df_join_inner)
print(df_join_outer)
print(df_join_left)
print(df_join_right)
# 結果
   id     name  age
2   3  Charlie   20

    id     name   age
0  1.0    Alice   NaN
1  2.0      Bob   NaN
2  3.0  Charlie  20.0
3  NaN      NaN  30.0
4  NaN      NaN  40.0

   id     name   age
0   1    Alice   NaN
1   2      Bob   NaN
2   3  Charlie  20.0

    id     name  age
2  3.0  Charlie   20
3  NaN      NaN   30
4  NaN      NaN   40

同じ列名を持つデータフレームの計算・操作

# ることで区別することができます。例えば、2つのデータフレームの各列を足し合わせる場合には、add()メソッドを使います。このメソッドは、列名に対してインデックスを付けて足し合わせることができます。

df1 = pd.DataFrame({'id': [1, 2, 3],
                    'value': [10, 20, 30]})
df2 = pd.DataFrame({'id': [2, 3, 4],
                    'value': [100, 200, 300]})
# 列名に対してインデックスを付けて足し合わせる
df_add = df1.set_index('id').add(df2.set_index('id'), fill_value=0).reset_index()
# 結果を表示
print(df_add)
# 結果
#    id  value
# 0   1   10.0
# 1   2  120.0
# 2   3  230.0
# 3   4  300.0

同じ列名を持つデータフレームを計算する場合には、列名に対してインデックスを付け

この例では、set_index()メソッドを使ってid列をインデックスに変更しています。そして、add()メソッドで足し合わせています。このとき、fill_value引数を使って、df1に存在しないインデックスを持つ行を0で埋めます。最後に、reset_index()メソッドを使って、インデックスを列に戻しています。

まとめ

同じ列名を持つデータフレームを扱う場合には、列名を変更する、データ前処理を行う、Pandasの結合方法を使い分ける、列名に対してインデックスを付けて操作する、などの方法があります。これらの方法を使い分けることで、同じ列名を持つデータフレームを扱いやすくすることができます。