重複データを見逃さない!Pandasでdistinct countを実行する方法と活用例

はじめに

PandasはPythonでデータ分析を行うためのライブラリで、データの操作や可視化、統計処理などに利用されます。今回は、Pandasを用いたデータ分析で欠かせない「distinct count(重複のない値の数を数える処理)」について解説します。

重複データの問題点とdistinct countの重要性

データ分析において、重複したデータを見逃すと、データの特性を正確に把握できず、誤った結果を導く原因となります。例えば、顧客データにおいて、同じ顧客が複数回登録されている場合、その顧客に対する分析結果が実際と異なるものになってしまいます。そのため、重複データを除外する処理はデータ分析において非常に重要な処理の1つとなっています。

重複データを除外するための処理の1つに「distinct count(重複のない値の数を数える処理)」があります。distinct countは、データの特性を正確に把握するために欠かせない処理であり、Pandasを用いることで簡単に実行することができます。

Pandasを使ったdistinct countの基本的な実行方法

Pandasを用いたdistinct countの基本的な実行方法は、PandasのSeriesオブジェクトのnunique()メソッドを使うことです。nunique()メソッドは、重複のない値の数を数えるために使用されます。

例えば、以下のようなデータがある場合、カラムAの値のdistinct countを求めるには、次のようにnunique()メソッドを使います。

import pandas as pd
data = {
    "A": [1, 2, 2, 3, 3, 3],
    "B": ["apple", "orange", "orange", "banana", "banana", "banana"]
}
df = pd.DataFrame(data)
print(df["A"].nunique()) # 結果:3

このように、カラムAには1, 2, 3の3つの値が存在するため、distinct countは3となります。

ignore_indexの使い方と効果

Pandasのconcat()関数を用いて、2つ以上のデータフレームを結合する場合、ignore_indexオプションを使用することで、新しいインデックスを自動的に生成することができます。

ignore_indexオプションを使用しない場合、結合後のデータフレームのインデックスは、元のデータフレームのインデックスがそのまま引き継がれます。この場合、インデックスの重複が発生する可能性があるため、distinct countを実行する際に問題が生じることがあります。

ignore_indexオプションを使用することで、結合後のデータフレームのインデックスが、元のデータフレームのインデックスとは無関係なものになるため、distinct countを実行する際に問題が生じることを回避できます。

以下は、ignore_indexオプションを使用しない場合と使用する場合の例です。

import pandas as pd
data1 = {
    "A": [1, 2, 3],
    "B": ["apple", "orange", "banana"]
}
data2 = {
    "A": [4, 5, 6],
    "B": ["grape", "peach", "melon"]
}
df1 = pd.DataFrame(data1)
df2 = pd.DataFrame(data2)
# ignore_indexオプションを使用しない場合
df3 = pd.concat([df1, df2])
print(df3)
# ignore_indexオプションを使用する場合
df4 = pd.concat([df1, df2], ignore_index=True)
print(df4)

上記のコードを実行すると、次のような結果が出力されます。

# ignore_indexオプションを使用しない場合
   A       B
0  1   apple
1  2  orange
2  3  banana
0  4   grape
1  5   peach
2  6   melon
# ignore_indexオプションを使用する場合
   A       B
0  1   apple
1  2  orange
2  3  banana
3  4   grape
4  5   peach
5  6   melon

ignore_indexオプションを使用しない場合、結合後のデータフレームのインデックスに元のデータフレームのインデックスがそのまま引き継がれていることが分かります。一方、ignore_indexオプションを使用する場合、新しいインデックスが自動的に生成されていることが分かります。

concat関数を活用したデータ結合とdistinct countの実践例

concat関数を活用したデータ結合とdistinct countの実践例として、以下のような2つのデータフレームを結合して、カテゴリ別のdistinct countを求める方法を説明します。

データフレーム1:

import pandas as pd
data1 = {
    "ID1": [1, 2, 3, 4, 5],
    "Category": ["A", "B", "C", "D", "E"]
}
df1 = pd.DataFrame(data1)
print(df1)
   ID Category
0   1        A
1   2        B
2   3        C
3   4        D
4   5        E

データフレーム2:

data2 = {
    "ID2": [1, 1, 2, 3, 3, 3, 4, 5],
    "Value": [10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80]
}
df2 = pd.DataFrame(data2)
print(df2)
   ID  Value
0   1     10
1   1     20
2   2     30
3   3     40
4   3     50
5   3     60
6   4     70
7   5     80

2つのデータフレームをID列をキーにして結合します。

df3 = pd.concat([df1, df2], axis=1)
print(df3)
   ID1 Category  ID2  Value
0   1        A   1     10
1   2        B   1     20
2   3        C   2     30
3   4        D   3     40
4   5        E   3     50
5 NaN      NaN   3     60
6 NaN      NaN   4     70
7 NaN      NaN   5     80

データフレームの結合が完了したら、Category列をキーにしてdistinct countを求めます。

print(df3.groupby("Category")["ID1"].nunique())
Category
A    1
B    1
C    1
D    1
E    1
Name: ID, dtype: int64

上記のコードを実行すると、Category列をキーにしてID列のdistinct countを求めることができます。

groupbyを用いたカテゴリ別のdistinct countの方法

先程説明したように、Pandasのgroupby()関数を用いることで、カテゴリ別にdistinct countを求めることができます。

groupby()関数は、データフレームを指定した列でグループ化するために使用されます。グループ化されたデータフレームに対して、さまざまな処理を実行することができます。groupby()関数を使用してカテゴリ別にdistinct countを求める場合は、以下のようなコードを使用します。

import pandas as pd
data = {
    "Category": ["A", "A", "B", "C", "C", "C", "D", "E"],
    "Value": [10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80]
}
df = pd.DataFrame(data)
print(df.groupby("Category")["Value"].nunique())
Category
A    2
B    1
C    3
D    1
E    1
Name: Value, dtype: int64

上記のコードを実行すると、Category列をキーにしてValue列のdistinct countを求めることができます。

distinct countを活用したデータ分析の具体的な応用例

distinct countは、データ分析において広く使用される重要な処理の1つです。distinct countを活用したデータ分析の具体的な応用例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 顧客数や商品数などの重要な指標の把握
  • 売上金額や購入数量などの集計処理の高速化
  • ユニークな値の抽出や重複データの除外などのデータ前処理

これらの応用例を活用することで、より正確なデータ分析が可能になり、ビジネスの意思決定の質が向上することが期待されます。

まとめ

Pandasを用いたdistinct countの実行方法について解説しました。distinct countは、重複データを除外するための重要な処理であり、Pandasを用いることで簡単に実行することができます。また、concat()関数やgroupby()関数を用いることで、複数のデータフレームを結合した上で、カテゴリ別にdistinct countを求めることも可能です。データ分析においては、distinct countを活用することでより正確な分析結果を得ることができるため、重要な処理の1つと言えます。

本記事を参考にして、Pandasを使ったdistinct countの実行方法をマスターし、データ分析の精度を向上させてください。