はじめに
データ分析において、複数のデータフレームを結合して分析することは一般的な手法です。pandasライブラリのjoinメソッドを使えば、簡単にデータフレームを結合することができます。この記事では、pandasのjoinメソッドを使ったデータフレームの結合方法について解説します。
pandas joinの概要と使用シーン
pandasのjoinメソッドは、2つのデータフレームを指定の条件に従って結合するために用いられます。joinメソッドを使うことで、異なるデータフレームを1つにまとめることができます。
joinメソッドは、以下のような使用シーンがあります。
- 複数のデータフレームを結合して1つのデータフレームにまとめる場合
- データフレーム同士の関係性を表現するために使用する場合
joinの基本構文とデータフレーム結合の方法
joinメソッドの基本的な構文は以下の通りです。
merged_df = df1.join(df2, on='key')
ここで、df1とdf2は結合する2つのデータフレームであり、keyは結合のキーとなる列です。結合に使うキーが複数ある場合には、onにリスト形式で複数のキーを指定することができます。
具体的なデータフレームの結合方法について解説します。
1. inner Join
Inner Joinは、2つのデータフレームに共通するキーのみを基準に結合する方法です。
例えば、以下のような2つのデータフレームがあったとします。
import pandas as pd df1 = pd.DataFrame({'key': ['A', 'B', 'C', 'D'], 'value1': [1, 2, 3, 4]}) df2 = pd.DataFrame({'key': ['B', 'D', 'E', 'F'], 'value2': [5, 6, 7, 8]})
df1とdf2をInner Joinするには、以下のように記述します。
inner_join = df1.set_index('key').join(df2.set_index('key'), on='key', how='inner')
print(inner_join)
出力結果:
key value1 value2 1 B 2 5 3 D 4 6
ここで、value_xはdf1のvalue列、value_yはdf2のvalue列です。Inner Joinでは、df1とdf2で共通するkeyのみが結合されています。
2. Outer Join
Outer Joinは、2つのデータフレームのすべての行を基準に結合する方法です。共通するキーがあれば結合されますが、ない場合には欠損値が入ります。
例えば、以下のような2つのデータフレームがあったとします。
df1 = pd.DataFrame({'key': ['A', 'B', 'C', 'D'], 'value1': [1, 2, 3, 4]}) df2 = pd.DataFrame({'key': ['B', 'D', 'E', 'F'], 'value2': [5, 6, 7, 8]})
df1とdf2をOuter Joinするには、以下のように記述します。
outer_join = df1.join(df2.set_index('key'), on='key', how='outer') print(outer_join)
出力結果:
key value1 value2 0 A 1.0 NaN 1 B 2.0 5.0 2 C 3.0 NaN 3 D 4.0 6.0 4 E NaN 7.0 5 F NaN 8.0
Outer Joinでは、df1とdf2のすべての行が結合されています。共通するキーがある場合には、その値が結合され、ない場合には欠損値が入ります。
3. Left Join
Left Joinは、df1を基準に結合し、df2のキーが存在する場合にはその値を結合し、存在しない場合には欠損値を入れます。
例えば、以下のような2つのデータフレームがあったとします。
df1 = pd.DataFrame({'key': ['A', 'B', 'C', 'D'], 'value1': [1, 2, 3, 4]}) df2 = pd.DataFrame({'key': ['B', 'D', 'E', 'F'], 'value2': [5, 6, 7, 8]})
df1を基準にLeft Joinを行うには、以下のように記述します。
left_join = df1.join(df2.set_index('key'), on='key', how='left') print(left_join)
出力結果:
key value1 value2 0 A 1 NaN 1 B 2 5.0 2 C 3 NaN 3 D 4 6.0
df1を基準にLeft Joinを行うと、df1のすべての行が結合され、df2のキーが存在する場合にはその値が結合されます。df2のキーが存在しない場合には欠損値が入ります。
4. Right Join
Right Joinは、df2を基準に結合し、df1のキーが存在する場合にはその値を結合し、存在しない場合には欠損値を入れます。
例えば、以下のような2つのデータフレームがあったとします。
df1 = pd.DataFrame({'key': ['A', 'B', 'C', 'D'], 'value1': [1, 2, 3, 4]}) df2 = pd.DataFrame({'key': ['B', 'D', 'E', 'F'], 'value2': [5, 6, 7, 8]})
df2を基準にRight Joinを行うには、以下のように記述します。
right_join = df1.join(df2.set_index('key'), on='key', how='right') print(right_join)
出力結果:
key value1 value2 0 B 2.0 5 1 D 4.0 6 2 E NaN 7 3 F NaN 8
df2を基準にRight Joinを行うと、df2のすべての行が結合され、df1のキーが存在する場合にはその値が結合されます。df1のキーが存在しない場合には欠損値が入ります。
実践例: pandas joinを使ったデータ分析のケーススタディ
ここでは、実際にpandasのjoinメソッドを使って、データ分析を行うケーススタディを紹介します。
例えば、以下のような2つのデータフレームがあったとします。
df1 = pd.DataFrame({'user_id': ['001', '002', '003', '004', '005'], 'age': [23, 32, 40, 28, 19]}) df2 = pd.DataFrame({'user_id': ['001', '002', '003', '004', '006'], 'gender': ['M', 'F', 'F', 'M', 'F']})
df1にはユーザーの年齢が、df2にはユーザーの性別が含まれています。この2つのデータフレームを結合し、年齢と性別を含む1つのデータフレームにまとめることを考えます。
df1とdf2をInner Joinするには、以下のように記述します。
merged_df = df1.join(df2.set_index('user_id'), on='user_id', how='inner') print(merged_df)
出力結果:
user_id age gender 0 001 23 M 1 002 32 F 2 003 40 F 3 004 28 M
ここで、gender列が追加されていることが確認できます。
まとめ
この記事では、pandasのjoinメソッドを使ったデータフレームの結合方法について解説しました。Inner Join、Outer Join、Left Join、Right Joinのそれぞれの使い方を理解し、実際のデータ分析に応用することができるようになりました。
データ分析において、複数のデータフレームを結合して分析することは欠かせない手法です。pandasのjoinメソッドを使いこなし、正確かつスムーズなデータ分析を行いましょう。