はじめに
ピーク検出は、様々な分野で重要な役割を果たしています。たとえば、生物学や医学、地球物理学、機械学習などで使用されます。本記事では、pandasのDataFrameを使ったピーク検出の方法について説明します。
データの準備
まず、ピーク検出を行うためのデータセットを準備しましょう。ここでは、サンプルとして、以下のようなデータを使用します。
import pandas as pd import numpy as np # データの生成 time = np.linspace(0, 10, 1000) data = np.sin(time) + 0.5 * np.random.rand(1000) # DataFrameに変換 df = pd.DataFrame({'Time': time, 'Data': data}) print(df.head())
このように、データは時間軸に対してsin波にノイズが加わったものになります。
ローパスフィルタの適用
ピーク検出を行う前に、ノイズを除去するためにローパスフィルタを適用することができます。ローパスフィルタは、データのスムージングや周波数帯域のカットオフなどに使用されます。ここでは、pandasのrollingメソッドを使用して、ローパスフィルタを適用する方法を説明します。
# ローパスフィルタの適用 df['Smoothed'] = df['Data'].rolling(window=10, center=True).mean().fillna(method='bfill').fillna(method='ffill') print(df.head())
このように、データにローパスフィルタを適用することで、ノイズが除去され、よりスムーズな曲線が得られます。
ピーク検出の基本アルゴリズム
ピーク検出の基本アルゴリズムには、ローカルマキシマとローカルミニマの検出があります。ローカルマキシマは、その点が周りの点よりも大きい値を持つ点のことであり、ローカルミニマは、その点が周りの点よりも小さい値を持つ点のことです。ここでは、pandasのshiftメソッドを使用して、ローカルマキシマとローカルミニマを検出する方法を説明します。
# ローカルマキシマの検出 df['Max'] = (df['Smoothed'].shift(1) < df['Smoothed']) & (df['Smoothed'].shift(-1) < df['Smoothed']) # ローカルミニマの検出 df['Min'] = (df['Smoothed'].shift(1) > df['Smoothed']) & (df['Smoothed'].shift(-1) > df['Smoothed']) print(df.head())
このように、ローカルマキシマとローカルミニマが検出され、DataFrameに追加されます。
scipyを用いたピーク検出
pandasだけでなく、scipyライブラリを使用してピーク検出を行うこともできます。scipy.signalモジュールには、ピーク検出に使用できるfind_peaks関数やfind_peaks_cwt関数があります。ここでは、find_peaks関数を使用して、ピーク検出を行う方法を説明します。
from scipy.signal import find_peaks # ピーク検出 peaks, _ = find_peaks(df['Smoothed'], height=0.5, distance=50) # 結果の表示 print('ピークの数:', len(peaks)) print('ピークの位置:', peaks)
このように、find_peaks関数を使用して、ピークの位置と数を簡単に取得することができます。
閾値や距離の設定
ピーク検出時には、閾値やピーク間の距離などのパラメータを設定することができます。たとえば、heightパラメータは、ピークの高さの最小値を指定するために使用され、distanceパラメータは、ピーク間の最小距離を指定するために使用されます。これらのパラメータを調整することで、正確なピークの検出を行うことができます。
# ピーク検出 peaks, _ = find_peaks(df['Smoothed'], height=0.8, distance=70) # 結果の表示 print('ピークの数:', len(peaks)) print('ピークの位置:', peaks)
このように、heightパラメータを0.8に、distanceパラメータを70に設定することで、より正確なピークの検出が可能になります。
まとめ
本記事では、pandasのDataFrameを使用してピーク検出を行う方法について説明しました。まず、データセットの準備とローパスフィルタの適用について説明し、次にローカルマキシマとローカルミニマの検出方法について説明しました。また、scipyライブラリを使用したピーク検出と、閾値や距離の設定方法についても説明しました。これらの方法を組み合わせることで、より正確なピーク検出を行うことができます。
本記事で紹介したコードは以下のようになります。
import pandas as pd import numpy as np from scipy.signal import find_peaks # データの生成 time = np.linspace(0, 10, 1000) data = np.sin(time) + 0.5 * np.random.rand(1000) # DataFrameに変換 df = pd.DataFrame({'Time': time, 'Data': data}) # ローパスフィルタの適用 df['Smoothed'] = df['Data'].rolling(window=10, center=True).mean().fillna(method='bfill').fillna(method='ffill') # ローカルマキシマの検出 df['Max'] = (df['Smoothed'].shift(1) < df['Smoothed']) & (df['Smoothed'].shift(-1) < df['Smoothed']) # ローカルミニマの検出 df['Min'] = (df['Smoothed'].shift(1) > df['Smoothed']) & (df['Smoothed'].shift(-1) > df['Smoothed']) # ピーク検出 peaks, _ = find_peaks(df['Smoothed'], height=0.8, distance=70) # 結果の表示 print('ピークの数:', len(peaks)) print('ピークの位置:', peaks)