numpyを使ったデータの正規化と標準化の違いと使い分け
はじめに
データ分析や機械学習を行う際、データの前処理が非常に重要です。その中でも、特徴量のスケーリングはデータを扱いやすくするために欠かせません。この記事では、データのスケーリング方法としてよく使われる「正規化」と「標準化」について、Pythonのライブラリnumpyを使って説明します。
データの正規化と標準化の重要性
データのスケーリングは、異なる尺度のデータを同じ尺度に揃えることで、分析やモデル構築が容易になります。特に、機械学習アルゴリズムはスケーリングされたデータのほうが効果的に働くことが多いです。正規化と標準化は、データのスケーリングを行う代表的な手法です。
numpyを使った正規化と標準化の方法
本記事では、numpyを使ってデータを正規化・標準化する方法を紹介します。また、それぞれの手法が適切なシーンや使い分けのポイントについても解説します。
本記事の内容
- 正規化と標準化の基本概念
- numpyを使った正規化の方法
- numpyを使った標準化の方法
- 正規化と標準化の使い分け
こんな人におすすめ
この記事は、以下のような方におすすめです。
- numpyを使って正規化、標準化処理を実装したい方
- 正規化と標準化の違いや使い分けについて理解したい方
- numpyを使ってデータの前処理を行いたい方
使用する主なライブラリ
本記事では、Pythonのライブラリnumpyを使用して、データの正規化と標準化を行います。
正規化と標準化の基本概念
正規化とは何か
正規化は、データを一定の範囲内に収めることです。一般的には、データを0~1の範囲に変換します。これにより、異なる尺度のデータを同じ尺度に揃えることができます。
標準化とは何か
標準化は、データの平均が0、標準偏差が1になるように変換することです。これにより、データの分布が正規分布に近づくことが期待されます。機械学習アルゴリズムの多くは、正規分布に従うデータを前提としているため、標準化が有効な場合があります。
それぞれの目的と違い
正規化は、データの範囲を揃えることが目的です。一方、標準化は、データの分布を正規分布に近づけることが目的です。どちらもデータのスケーリングを行う手法ですが、適用する目的が異なります。
numpyを使った正規化の方法
MinMaxスケーリングによる正規化
MinMaxスケーリングは、データの最小値と最大値を使って、0~1の範囲に変換する手法です。以下の式で表されます。
正規化された値 = (データ – 最小値) / (最大値 – 最小値)
コード例と解説
import numpy as np
def minmax_scaling(data):
min_value = np.min(data)
max_value = np.max(data)
normalized_data = (data - min_value) / (max_value - min_value)
return normalized_data
data = np.array([10, 20, 30, 40, 50])
normalized_data = minmax_scaling(data)
print(normalized_data)
上記のコードでは、numpyを使ってデータの正規化を行っています。関数minmax_scaling()は、引数としてデータを受け取り、MinMaxスケーリングを適用して正規化したデータを返します。
応用例
データセットに複数の特徴量がある場合でも、numpyを使って簡単に正規化を適用できます。以下のコードでは、2次元のデータセットを正規化しています。
import numpy as np
def minmax_scaling_2d(data):
min_values = np.min(data, axis=0)
max_values = np.max(data, axis=0)
normalized_data = (data - min_values) / (max_values - min_values)
return normalized_data
data = np.array([[1, 50],
[2, 100],
[3, 150],
[4, 200],
[5, 250]])
normalized_data = minmax_scaling_2d(data)
print(normalized_data)
上記のコードでは、2次元のデータセットを引数として受け取り、各特徴量に対して正規化を適用しています。axis=0を指定することで、列ごとの最小値と最大値を計算できます。
numpyを使った標準化の方法
Zスコアによる標準化
Zスコアは、データの平均と標準偏差を使って標準化を行う手法です。以下の式で表されます。
標準化された値 = (データ – 平均) / 標準偏差
コード例と解説
import numpy as np
def z_score_scaling(data):
mean = np.mean(data)
std = np.std(data)
standardized_data = (data - mean) / std
return standardized_data
data = np.array([10, 20, 30, 40, 50])
standardized_data = z_score_scaling(data)
print(standardized_data)
上記のコードでは、numpyを使ってデータの標準化を行っています。関数z_score_scaling()は、引数としてデータを受け取り、Zスコアを適用して標準化したデータを返します。
応用例
複数の特徴量があるデータセットに対しても、numpyを使って簡単に標準化を適用できます。以下のコードでは、2次元のデータセットを標準化しています。
import numpy as np
def z_score_scaling_2d(data):
mean = np.mean(data, axis=0)
std = np.std(data, axis=0)
standardized_data = (data - mean) / std
return standardized_data
data = np.array([[1, 50],
[2, 100],
[3, 150],
[4, 200],
[5, 250]])
standardized_data = z_score_scaling_2d(data)
print(standardized_data)
上記のコードでは、2次元のデータセットを引数として受け取り、各特徴量に対して標準化を適用しています。axis=0を指定することで、列ごとの平均と標準偏差を計算できます。
正規化と標準化の使い分け
それぞれの適切なシーン
正規化は、データの範囲が一定であることが重要な場合に適しています。例えば、画像データのピクセル値は0~255の範囲に収まるため、正規化が適切です。また、外れ値の影響を受けやすいアルゴリズムには、正規化が有効です。
標準化は、データの分布が正規分布に近いことが重要な場合に適しています。機械学習アルゴリズムの多くは、正規分布に従うデータを前提としているため、標準化が適切です。外れ値の影響を受けにくいアルゴリズムにも、標準化が有効です。
使い分けのポイント
正規化と標準化の使い分けは、以下のポイントに注意して選択します。
- データの範囲が重要な場合は正規化を選択
- データの分布が重要な場合は標準化を選択
- 外れ値の影響を受けやすいアルゴリズムを使用する場合は正規化を選択
- 外れ値の影響を受けにくいアルゴリズムを使用する場合は標準化を選択
まとめ
本記事では、numpyを使ったデータの正規化と標準化の方法を紹介しました。また、正規化と標準化の違いや使い分けについても解説しました。データ分析や機械学習を行う際に、適切なスケーリング手法を選択することで、効果的なモデル構築が可能になります。





