【2026年最新】デジタル庁が国産LLM 7モデルを選定|源内の全府省庁展開をわかりやすく解説

ガバメントAI

2026年3月、デジタル庁は政府共用の生成AI基盤「源内(げんない)」に搭載する国産AIモデル7つを発表しました。NTTデータや富士通、NECなど日本を代表する企業のAIが選ばれ、2026年夏から全府省庁の職員約18万人が利用を開始します。本記事では「そもそもガバメントAIって何?」という基本から、選ばれた7モデルの顔ぶれ、今後のスケジュール、そして私たちの仕事にどう影響するかまで、わかりやすく解説します。

1. ガバメントAI「源内」とは?──一言でいうと”お役所版ChatGPT”

「ガバメントAI」とは、デジタル庁が推進する政府専用のAI活用プロジェクトの総称です。その中心となるのが、デジタル庁が自ら開発した生成AI利用環境「源内(げんない)」。名前の由来は、江戸時代の発明家・平賀源内と「Generative AI(GenAI)」をかけたもの。イメージとしては、ChatGPTやGeminiのようなAIチャットを、政府の機密情報も安全に扱えるようにした「お役所専用のAIツール」と考えてください。

2025年5月からデジタル庁内で運用が始まり、すでに国会答弁の検索AIなどが使われています。そしていよいよ2026年5月から全府省庁の約18万人に拡大展開される計画です。

ポイント:これまで源内で使えたのは米国企業(AWSやAnthropic社)のAIモデルのみでした。今回、ここに日本企業がつくった「国産AIモデル」を加える──というのが今回のニュースの核心です。

2. 押さえるべき3つのポイント

ポイント① 国産AIが7つ選ばれた意味

実務への影響デジタル庁は2025年12月に国産LLMの公募を開始し、応募15件の中から書類審査と50問の独自評価テストを経て7モデルを選定しました。選定基準は「行政実務で実用的な性能があるか」「日本語への対応力」「安全性(誤情報やバイアスの抑制)」「国内クラウドで動作するか」など。海外AIだけに頼る状態からの脱却であり、今後の行政文書作成・内部調査・住民対応などで日本語に強い国産AIが標準的な選択肢に加わる見込みです。行政手続きのAI化が進めば、窓口対応や申請処理のスピード向上など、一般のビジネスパーソンにも恩恵が及びます。

ポイント② 機密情報を国内で完結処理

実務への影響選ばれた7つの国産AIは、すべて政府共通のクラウド基盤(ガバメントクラウド)上で動作します。つまりデータが海外サーバーを経由しません。政府が扱う「機密性2情報」(漏えいすると行政事務に支障が出るレベルの情報)もAIに処理させることが可能になります。企業の立場から見ると、官公庁との取引や入札において「国産AI対応」が求められるケースが今後増える可能性があります。自社のデータ管理やセキュリティ基準の見直しを検討する契機にもなるでしょう。

ポイント③ 2027年度から有償調達=本格導入へ

実務への影響2026年度中は各社が無償で提供し、2027年1月に評価結果が公表されます。優秀な成績を収めたモデルは、2027年4月以降に政府による有償調達が予定されています。これは国産AIベンダーにとって大きな”お墨付き”であり、関連するIT・AI産業の商機が広がることが予想されます。自治体や民間企業にも波及効果があり、「政府が認めたAI」という信頼性が国産AIサービスの普及を後押しする見通しです。

3. 選ばれた国産LLM 7モデル一覧

企業名 モデル名 特徴(概要)
NTTデータ tsuzumi 2 NTTグループが独自開発。日本語処理に強みをもつ大規模モデル
KDDI・ELYZA(共同応募) Llama-3.1-ELYZA-JP-70B Meta社のLlamaベースに日本語特化チューニングを施した700億パラメータモデル
ソフトバンク Sarashina2 mini 自社AI計算基盤で開発された国産モデルの軽量版
日本電気(NEC) cotomi v3 NECが開発するビジネス向けLLMの第3世代
富士通 Takane 32B 320億パラメータ。行政・ビジネス文書処理を想定した国産モデル
Preferred Networks PLaMo 2.0 Prime 翻訳AIで先行導入済み。研究開発力に定評のあるPFN製
カスタマークラウド CC Gov-LLM 行政・公共分野に特化した専用モデル

※アルファベット順で表記。選定では「独自開発か海外モデルの派生か」も説明が求められましたが、いずれの形式も排除されず、実力本位で選ばれています。

4. 従来との比較──何が変わるのか

比較項目 従来(海外LLMのみ) 今後(国産LLM併用)
利用モデル 米国企業のモデル(Claude、Nova Liteなど) 海外モデル+国産7モデルを業務に応じて選択
日本語対応力 汎用的な日本語処理 法令用語・公文書の表現に最適化されたモデルを利用可能
データの処理場所 海外サーバーを経由する場合あり ガバメントクラウド上で国内完結処理
機密情報の取り扱い 制約あり 「機密性2情報」までAIで処理可能
利用対象者 デジタル庁の職員中心 全府省庁の約18万人(2026年5月〜)
コスト 海外ベンダーへの利用料 2026年度は無償、2027年度以降に有償調達予定

5. 料金・コストに関する情報

今回の取り組みにおけるコスト構造は以下の通りです。

項目 内容
2026年度のモデル利用料 無償(各社が無償で提供する条件で公募)
クラウドインフラ費用 デジタル庁が負担
2027年度以降 評価結果に基づき有償調達へ移行予定(サブスクリプション型・買い切り型・従量課金型などを各社が提示)
関連予算 令和7年度補正予算で約44億円がガバメントAI整備事業に計上

一般企業が直接このシステムを利用するものではありませんが、政府が大口ユーザーとして国産AIを本格採用することで、モデルの品質向上とコスト低下が期待されます。その恩恵は、各社が提供する法人向けAIサービスを通じて民間にも波及する見通しです。

6. 活用シーン別ヒント──自分の仕事にどう関係する?

あなたの立場 想定される影響・活用のヒント
官公庁・自治体の職員 国会答弁作成支援、法制度調査、住民からの問い合わせ対応など、20種類以上のAIアプリが内製される予定。「AIを使って業務を効率化する」スキルが求められる時代に
官公庁と取引のある企業 入札書類や報告書の作成がAIで効率化される可能性あり。一方で、AI対応のセキュリティ要件が取引条件に加わることも想定される
IT・AI業界の人 政府調達という安定的な需要が生まれることで、国産AI開発への投資が加速。関連するSIer・インフラ企業にも商機が広がる
一般のビジネスパーソン 行政手続きのスピードアップが期待される。また、「政府が使うAI」として国産モデルの信頼性が示されれば、自社でのAI導入検討時の参考材料になる
経営者・マネジメント層 国産AIの利用実績が蓄積されることで、海外AI一択だった選択肢が広がる。データ主権やコンプライアンスの観点から、国産AIの検討価値が高まる

7. 注意点

① まだ「試用段階」であること
選ばれた7モデルは2026年8月から試用が始まりますが、これは本採用ではありません。2027年1月に評価結果が公表され、そこで成績が良かったモデルだけが有償調達されます。つまり、7つすべてが最終的に残るとは限りません。

② 海外AIの排除ではない
源内はマルチモデル設計で、海外モデル(Claude、Nova Liteなど)と国産モデルの併用を前提としています。職員が業務内容に応じて最適なモデルを選ぶ運用です。「国産に全面切り替え」ではない点は押さえておきましょう。

③ AIの出力には人間の確認が必須
AIが生成する文章には、事実と異なる内容が含まれることがあります(ハルシネーション)。特に法令文書や公式文書では、最終確認を人間が行う運用が前提です。

④ 性能は海外トップモデルと比較して発展途上の面も
今回の選定ではベンチマーク結果も審査されていますが、すべての領域で海外最先端モデルと同水準というわけではありません。特に汎用的な推論力では差がある可能性があり、得意分野(日本語・行政文書)を活かす使い方がカギです。

8. まとめ

今回のガバメントAI「源内」への国産LLM 7モデル選定は、日本の行政AI戦略において大きな転換点です。要点を整理すると──

何が起きたか:デジタル庁が公募し、15件の応募から国産AIモデル7つを選定。NTTデータ、KDDI・ELYZA、ソフトバンク、NEC、富士通、Preferred Networks、カスタマークラウドの各社が名を連ねています。

なぜ重要か:海外AIだけに依存しない体制づくり。日本語・行政文書に強いAIを、機密情報も安全に扱える国内クラウド上で運用できるようになります。

今後のスケジュール:2026年5月に全府省庁18万人へ展開 → 8月に国産モデル試用開始 → 2027年1月に評価公表 → 4月以降に本格調達。

私たちへの影響:行政手続きの効率化、国産AI産業の活性化、そして「政府お墨付きの国産AI」が民間にも波及していく可能性。AI導入を検討中の企業にとっても、選択肢が広がる好材料です。

出典

※本記事は2026年3月9日時点の公開情報に基づいています。今後の政策変更や評価結果により、内容が変わる可能性があります。

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