Pandasで行をずらす方法:シフト機能を詳しく解説

Pandasとは

Pandasは、Pythonでデータ解析を行うためのライブラリです。Pandasを使うことで、Excelのような表形式のデータを簡単に操作することができます。Pandasは、データの読み込み、整形、加工、分析、可視化などの機能を提供しています。

行をずらす基本操作:shiftメソッド

Pandasで行をずらすには、shiftメソッドを使います。shiftメソッドは、指定した数だけ行をずらすことができます。以下は、shiftメソッドを使って1行ずつ下にずらす例です。

import pandas as pd
df = pd.DataFrame({'A': [1, 2, 3, 4, 5], 'B': [10, 20, 30, 40, 50]})
shifted_df = df.shift(1)
print(df)
print(shifted_df)

上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

   A   B
0  1  10
1  2  20
2  3  30
3  4  40
4  5  50
     A     B
0  NaN   NaN
1  1.0  10.0
2  2.0  20.0
3  3.0  30.0
4  4.0  40.0

元のデータフレームdfと、1行下にずらしたshifted_dfが表示されています。shifted_dfの先頭行はNaNになっています。これは、データを1行下にずらすことで、先頭行が欠損値になったためです。

shiftメソッドのパラメータについて

shiftメソッドには、以下のようなパラメータがあります。

  • periods:ずらす行数を指定します。正の整数であれば下にずらし、負の整数であれば上にずらします。
  • freq:時間的なずらし方を指定します。デフォルトはNoneで、行を単純にずらします。freqには、pandasの時系列オフセット文字列を指定することができます。例えば、freq=’D’とすると、1日ずつずらすことができます。
  • axis:ずらす方向を指定します。デフォルトは0で、行方向にずらします。1を指定すると、列方向にずらします。
  • fill_value:欠損値をどのように埋めるかを指定します。デフォルトはNaNです。

実際のデータを用いたshiftメソッドの使用例

ここでは、実際のデータを用いてshiftメソッドを使った例を紹介します。以下は、株価データを表したデータフレームです。

import pandas as pd
data = {'Date': ['2021-01-01', '2021-01-02', '2021-01-03', '2021-01-04', '2021-01-05'],
        'Open': [100, 110, 105, 95, 100],
        'High': [120, 130, 120, 100, 105],
        'Low': [90, 100, 95, 90, 95],
        'Close': [110, 120, 100, 95, 100]}
df = pd.DataFrame(data)
df['Date'] = pd.to_datetime(df['Date'])
print(df)

上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

        Date  Open  High  Low  Close
0 2021-01-01   100   120   90    110
1 2021-01-02   110   130  100    120
2 2021-01-03   105   120   95    100
3 2021-01-04    95   100   90     95
4 2021-01-05   100   105   95    100

次に、Close列を1行下にずらしたデータフレームを作成してみます。

shifted_df = df.copy()
shifted_df['Close'] = df['Close'].shift(1)
print(shifted_df)

上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

        Date  Open  High  Low  Close
0 2021-01-01   100   120   90    NaN
1 2021-01-02   110   130  100  110.0
2 2021-01-03   105   120   95  120.0
3 2021-01-04    95   100   90  100.0
4 2021-01-05   100   105   95   95.0

Close列が1行下にずれ、先頭行がNaNになっていることがわかります。

shiftメソッドを活用したデータ分析の応用例

ここでは、shiftメソッドを活用したデータ分析の応用例を紹介します。以下は、ある企業の株価データを表したデータフレームです。

import pandas as pd
data = {'Date': ['2021-01-01', '2021-01-02', '2021-01-03', '2021-01-04', '2021-01-05'],
        'Open': [100, 110, 105, 95, 100],
        'High': [120, 130, 120, 100, 105],
        'Low': [90, 100, 95, 90, 95],
        'Close': [110, 120, 100, 95, 100]}
df = pd.DataFrame(data)
df['Date'] = pd.to_datetime(df['Date'])
print(df)

このデータフレームを使って、以下のような分析を行ってみます。

  • 前日の終値と当日の始値を比較し、株価の上昇率を求める。

上記の分析を行うためには、以下のようなコードを書くことができます。

shifted_df = df.copy()
shifted_df['Close_shifted'] = df['Close'].shift(1)
shifted_df['Change'] = (df['Open'] - shifted_df['Close_shifted']) / shifted_df['Close_shifted']
print(shifted_df)

上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

        Date  Open  High  Low  Close  Close_shifted    Change
0 2021-01-01   100   120   90    110            NaN       NaN
1 2021-01-02   110   130  100    120          110.0  0.090909
2 2021-01-03   105   120   95    100          120.0 -0.125000
3 2021-01-04    95   100   90     95          100.0 -0.050000
4 2021-01-05   100   105   95    100           95.0  0.052632

Close_shifted列が前日の終値を表しており、Change列が株価の上昇率を表しています。

注意点とよくあるエラー

shiftメソッドを使う際には、以下のような注意点があります。

  • shiftメソッドは、データフレーム全体に対して適用されます。特定の列だけずらす場合は、列を抽出してからshiftメソッドを適用してください。
  • shiftメソッドでずらした結果、欠損値が発生する可能性があります。欠損値の扱いには注意してください。
  • shiftメソッドでずらす行数を指定する際には、負の整数を指定することもできます。しかし、負の整数を指定した場合には、データフレームの先頭行が失われるため、注意が必要です。

まとめ

Pandasのshiftメソッドを使うことで、データフレームの行を簡単にずらすことができます。shiftメソッドを活用することで、株価データなどの時系列データを分析する際に便利な機能を提供しています。